膵癌のリスク
膵癌は、今なお予後が最も悪い癌の一つです。
診断時点で約半数の方で遠隔転移があり、診断時に病変が局所にとどまり手術可能なのは20%未満とされています。また、全てのステージを合わせた5年生存率は約8~10%と低くなっています。
膵癌発症には遺伝的な要素もありますが、リスクとなる生活習慣もあり、これらのリスクを知ることで、膵癌の予防にもつながると思われます。
- 喫煙
生活習慣のリスク因子のうち最大のものが喫煙です。膵癌の約30%は喫煙により生じているとされ、喫煙者は非喫煙者に比べ2.5~3.6倍膵癌のリスクが高くなります。
- 過剰な飲酒
飲酒では、純アルコール摂取量が1日30gを超えるとリスクが上がることがわかっています。5%のアルコール度数のビール350mLに含まれるアルコール(エタノール)量が14gですので、350mLを2缶飲むと約30gとなります。
- 食生活
食品での過剰摂取に気を付けないといけないのは、果糖、飽和脂肪酸(動物性脂肪に多い)、肉(特に、よく焼かれた肉や加工肉)とされています。逆に、柑橘系果物や野菜を積極的に摂ることは、膵癌のリスクを下げます。コーヒーや大量ではない飲酒では膵癌のリスクは上がらないとされています。
(参考文献)
Pancreatic Cancer. Manuel H. N Engl J Med 2010; 362: 1605-17
Pancreatic Cancer. Wungki P, et al. JAMA 2021; 326: 851-62
Harrison's Principles of Internal Medicine、著: Loscalzo Joseph、Fauci Anthony S、McGraw-Hill