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リンパ節腫脹の鑑別

リンパ節腫脹についてまとめました。

 

まず、リンパ節腫脹の定期ですが、通常、リンパ節の大きさが10mmを超える場合、「リンパ節腫脹」とします。

例外として、鼠径リンパ節は15mm以上、滑車リンパ節は5mm以上でリンパ節腫脹と判断します。

 

以下に、具体的なリンパ節腫脹の鑑別疾患を挙げます

 

リンパ節腫脹をきたす疾患の例
 

 感染症

 細菌(歯性感染症、中耳炎、外耳道炎、咽頭炎、頭皮の感染)

 梅毒、猫ひっかき病(Bartonella henselae)、野兎病

 ウイルス(サイトメガロウイルス、EBウイルス、アデノウイルス、風疹、肝炎など)

 抗酸菌(結核菌、ハンセン病)

 真菌(ヒストプラズマ症、コクシジオイデス症)

 クラミジア

 寄生虫(トキソプラズマ症、トリパノソーマ、フィラリア)

 免疫疾患

 関節リウマチ、SLE、血清病、Castleman病、組織球症、菊池病(亜急性壊死性リンパ節炎)、

 川崎病、木村氏病、サルコイドーシス、皮膚病性リンパ節炎、全身性IgG4関連疾患

 血液、腫瘍

 白血病、リンパ腫、アミロイドーシスを伴った多発性骨髄腫、固形癌のリンパ節転移

 代謝性疾患

 Gaucher病、Niemann-Pick病

 内分泌疾患

 甲状腺機能亢進症、副腎不全、甲状腺炎

 薬剤

 アロプリノール、インドメタシン、フェニトイン、メソトレキセートなど

 

上の表と重複しますが、

リンパ節腫脹をきたす疾患の語呂合わせとして、「MIAMI」があります。

(Am Fam Physician. 2016; 94: 896-903.)

 

鑑別のポイント

・問診で確認したいこと

 リンパ節腫脹の出現時期、経過(慢性、急性)、部位、疼痛の有無

 既往歴(アトピー性皮膚炎、結核、自己免疫性疾患など)

 薬剤使用歴(抗痙攣薬、MTX)

 ペット飼育歴

 

 悪性かどうかの鑑別に役立つポイント:

・大きさ

 3cmを超えると悪性の可能性が高いといわれます。

 

・痛みの有無

 腫脹しているリンパ節が痛みや圧痛を伴う場合、感染症や炎症(壊死性リンパ節炎)の可能性が高くなりますが、決して「悪性=痛くない」わけではなく、悪性でも急速に増大している場合は痛いことがあります。

 

・画像検査:

 リンパ節腫脹をみた場合、まずは超音波検査(エコー)を行う場合が多いと思いますが、

悪性を疑うリンパ節の形状として

・球形 ・リンパ門の狭小化 ・2層構造の消失

が挙げられ、特に悪性リンパ腫の場合は内部エコーが均一に、悪性腫瘍のリンパ節転移の場合は内部エコーが不均一になる場合が多いとされます。

 

ただ、家庭医を受診した患者さんのうち、リンパ節腫脹の原因が悪性腫瘍である確率は、40歳以上では4%、40歳未満では0.4%という報告があります。若い健康な方では、すぐに悪性を心配する必要性は高くないと思われます。

逆に高齢者の場合、若年者に比べ悪性腫瘍の割合が多くなるため、CTや消化管内視鏡検査を含めた精査が必要となる場合は多いと思われます。

 

 

参考文献

マクギーの身体診断学 原著第2版 診断と治療社

Dr.ウィリスベッドサイド診断、病歴と身体診察でここまでわかる、医学書院

medicina 2016年増刊号 内科診断の道しるべ その症候、どう診る どう考える、医学書院

Case 38-2013 — A 30-Year-Old Man with Fever and Lymphadenopathy.  A. Ray, V.V. Muse, and D.F. Boyer.  N Engl J Med 2013; 369: 2333-43.

Unexplained Lymphadenopathy: Evaluation and Differential Diagnosis.  Heidi L Gaddey, Angela M Riegel.  Am Fam Physician. 2016; 94: 896-903.