THE 総合内科 ~診断力、総合力、感染症~

総合内科医の知の共有 ~ 医療従事者にとっては、臨床に有用な情報を 一般の方に対しては、根拠のある健康情報を提供します

ショック+徐脈の鑑別:語呂合わせ

ショック+徐脈の鑑別

 

一般的にはショックの場合は頻脈を呈する場合が多いのですが、ショック+徐脈を呈する病態もあり、ショックの速やかな鑑別のために、それらの病態がすぐに思い浮かぶことは重要です。

 

ショック+徐脈の鑑別に役立つ語呂合わせを二つ紹介します。

 

「A RighT LyteS BRADY」

Arrhythmia:不整脈

Right MI:右心室梗塞

Temperature、hypoThyroid:低体温、甲状腺機能低下

Lyte:電解質(高K血症、高Mg血症)

Sepsis:敗血症

BS:血糖

Reflex (vasovagal):迷走神経反射

Adrenal insufficiency:副腎不全

Drug:薬剤性(ABCD:Alpha blocker、Beta blocker、Calcium channel blocker、Diuretics)

hYpoxia:低酸素血症

 

 

「VF AED ON」

V:vasovagal reflex(迷走神経反射)

F:freezing(低体温)、fish(シガテラ毒)

A:AMI(特に右室梗塞)

E:electrolytes(高K血症)、endocrine(甲状腺機能低下症)

D:dissection(大動脈解離)、drug(特にβ遮断薬)

O:hypoxia(低酸素血症)、old age(自律神経失調)

N:neurogenic shock(主に脊髄損傷)

 

 

ショックの基礎

定義:「the clinical condition of organ dysfunction resulting from an imbalance between cellular oxygen supply and demand」 (Harrison内科学より引用)

 

ショック初期は可逆的ですが、未治療のままだと不可逆的となり、多臓器不全から死に至ります。そのため、初期に、ショックであることを検知し、その原因を特定し速やかに治療介入することが必要です。

 

分類としては、4つに分類されることが多く、これらが混在することも珍しくありません。

  • Distributive shock 血液分布異常性ショック
  • Cardiogenic shock 心原性ショック
  • Hypovolemic shock 循環血液量減少性ショック
  • Obstructive shock 拘束性ショック

 

ここではショック+徐脈の鑑別に役立つ語呂合わせを紹介しました。

その他のショックに関しては、他記事で紹介したいと思います。

 

 

(参考文献)

診断戦略 Art and Strategy of Diagnostic Medicine 診断力向上のためのアートとサイエンス、著:志水太郎、医学書院

Harrison's Principles of Internal Medicine、著: Loscalzo Joseph、Fauci Anthony S、McGraw-Hill

オール沖縄!カンファレンス 第39回 総合診療 2020年Vol.30, No.3