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化膿性関節炎 septic arthritis(native joint)

化膿性関節炎(native joint)について、原因・リスク、起炎菌を中心にまとめました。

 

化膿性関節炎

 ・整形外科的なエマージェンシー

 ・滑膜炎として発症し、関節腔内に滲出液が貯留し、軟骨や骨の破壊へと至る

 ・滑膜は血行に富み基底膜がないことから、血中の細菌は関節内に侵入しやすい

 

原因・リスク

・元々の関節炎症 27% (痛風、偽痛風、関節リウマチなど)

・医原性 16.9%

  ステロイド関節内注射

  関節穿刺の0.002~0.005%、関節鏡の0.14~2%に合併

・皮膚の潰瘍、感染症

・糖尿病

・高齢

・アルコール依存症

 

罹患関節

 単関節が約90%

  多関節罹患が約10-20%

 →「化膿性関節炎=単関節炎」ではない

 膝が最多、肩、膝がそれぞれ約20%、手の小関節が15%

 

主な起炎菌

Staphylococcus aureus(46-56.1%)

最多。とくに、関節リウマチ患者の起炎菌 

Stretococcous spp.(14.8-22.0%)

 S.aureusの次に多い

 β溶血性連鎖球菌(S.pyogenes、C群、G群など)

 S.agalactiae:新生児、基礎疾患のある成人(糖尿病、悪性腫瘍、泌尿生殖器疾患など)、多関節を侵しやすい

 S.pneumoniae:多関節を侵しやすい。肺病変はないことが多い

 S.suis:主に中国、東南アジア、豚との接触、不十分な調理の豚料理

 Viridans group streotococci:人工関節ではよくあるが、ネイティブ関節では稀

・CNS(3.2-4%)

・グラム陰性菌:5-20%(10.8-21.0%)

新生児、高齢者、免疫不全、静注薬物乱用者などがリスク

 Pseudomonas aeruginosa:特に静注薬物乱用者

Haemophilus influenzae:Hibワクチンで減少

Kingella kingae:Hibワクチン普及により減少したH.influenzaeに代わり小児(4歳以下)の化膿性関節炎の起炎菌として増加。口腔内常在菌。小児から小児への伝播あり

 

その他、頻度の低い起炎菌

corynebacterium sp.

Salmonella spp.

Neisseria meningitidis

Listeria monocytogenes

Burkholderia pseudomallei:(melioidosis)東南アジア渡航歴

Brucella spp.:低温殺菌されていない食物摂取

Mycoplasma hominis:産褥期の女性

 

嫌気性菌として

Pasteurella multocida ・Capnocytophaga spp.:犬や猫の咬傷

Eikenella corrodens ・Fusobacterium nucleatum:ヒト咬傷

Streptobacillus moniliformis:ネズミ咬傷(鼠咬熱 rat bite fever の原因菌)

Pantoea agglomerans:草木のトゲが刺さった傷

 

診断

 関節から菌の検出

  検査の感度:関節液 塗抹29~50%、培養 67~82%

 血液培養陽性率 27%

 症状や身体所見から、化膿性関節炎と他の炎症性関節炎を区別することは困難

 発熱(57%)、関節痛(85%)、関節腫脹(78%)→発熱がない化膿性関節炎も多い

 

 注意点

 ・塗抹(グラム染色)の感度は十分ではないため、塗抹陰性では否定できない

 ・関節液中の白血球数は著増(WBC>5~10万/μL)することが多い

 (低くても除外はできない)

 ※頻度の高い偽痛風と化膿性関節炎の鑑別についてはこちら記事も参照ください

 

治療

・原則ドレナージが必要

・グラム染色結果に基づきempiric therapyを開始

・抗菌薬治療期間の目安:2-6週間

 骨髄炎合併時はより長期となる

 

予後

 致死率:7-15%

 高齢者では致死率が上がる

 

(参考文献)

Bacterial septic arthritis in adults.  Catherine J Mathews, et al.  Lancet

2010; 375: 846-55.  PMID: 20206778

Epidemiology, Management, and Outcomes of Large and Small Native Joint Septic Arthritis in Adults.  Stephen McBride, et al.  Clin Infect Dis 2020; 70: 271-9.  PMID: 30941403

Native Joint Septic Arthritis: Epidemiology, Clinical Features, and Microbiological Causes in a New Zealand Population.  Nicholas Kennedyet al.  J Rheumatol 2015; 42: 2392-7.  PMID: 26523022

Pneumococcal septic arthritis: review of 190 cases.  John J Ross, et al.  Clin Infect Dis 2003; 36: 319-27. 

Mandell, Douglas, and Bennett's Principles and Practice of Infectious Diseases Eighth Edition.  ELSEVIER

JAID/JSC 感染症治療ガイド2019、編集:JAID/JSC感染症治療ガイド・ガイドライン作成委員会、発行:日本感染症学会・日本化学療法学会