THE 総合内科 ~診断力、総合力、感染症~

総合内科医の知の共有 ~ 医療従事者にとっては、臨床に有用な情報を 一般の方に対しては、根拠のある健康情報を提供します

2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧

腎性低尿酸血症とは ~低尿酸血症の鑑別~

時々、健康診断の二次検診で「尿酸が低い」と指摘されて外来を受診される患者さんがいらっしゃいます。自覚症状や重篤な基礎疾患がなく、尿酸を低下させる薬剤を内服していない場合、腎性低尿酸血症の可能性があります。 ◆Key Points◆ ・血清尿酸値が低い(…

sIL-2R(可溶性IL-2受容体)はリンパ腫の鑑別に有用か?

不明熱の鑑別において、リンパ腫は最も重要で、かつ臨床医を悩ませるものの一つです。 リンパ節腫大がないリンパ腫(血管内リンパ腫、肝脾原発リンパ腫)もあり、リンパ節腫大があっても、(全身状態、年齢などから)すぐに生検ができるわけではありません。…

横紋筋融解 rhabdomyolysis

横紋筋融解とは、骨格筋組織の壊死と、それに伴う筋細胞内成分の血液中への流出と定義され、下記に示すような様々な疾患・病態が原因となります。 横紋筋融解 rhabdomyolysisと似た言葉として、高CK血症 hyperCKemiaがあります。この二つの厳密な区別はあり…

単球増加の鑑別

単球(monocyte)増加の鑑別を考えます。 好中球、リンパ球、好酸球の増多・減少に比べ、臨床的に注目されることが少ない単球増多ですが、何らかの疾患を示唆している場合もあります。 まずは、正常範囲ですが、200~950/μLが目安とされます。 単球≧1000/μL…

浮腫を起こす疾患例(minorなもの)

前回、浮腫のメカニズムや、鑑別の手順について記載しました(浮腫の鑑別)。 今回は、浮腫を起こす疾患の具体例を取り上げたいと思います。 浮腫の代表的な原因である心不全、腎不全、肝硬変、深部静脈血栓症など以外の、比較的稀で、知っておくと鑑別に役…

浮腫の鑑別

◆Key Points◆ ・浮腫は全身性か、局所性か・(全身性であれば)低アルブミン血症(Alb<3.0g/dL)があるか・(低アルブミン血症がなければ)心不全かどうか 浮腫は、内科外来を受診する患者さんの訴えとして少なくありません。 利尿薬による対症療法を行うだ…

咽頭痛、「のどが痛い」

咽頭痛の原因は感冒、溶連菌感染による咽頭の炎症だけではありません。 killer sore throatといわれる咽後膿瘍、扁桃周囲膿瘍、下顎窩膿瘍の他、甲状腺炎、さらには胃食道逆流、後鼻漏なども咽頭痛の原因となります。 感染性の咽頭炎においても、感冒やA群溶…