咽頭痛の原因は感冒、溶連菌感染による咽頭の炎症だけではありません。
killer sore throatといわれる咽後膿瘍、扁桃周囲膿瘍、下顎窩膿瘍の他、甲状腺炎、さらには胃食道逆流、後鼻漏なども咽頭痛の原因となります。
感染性の咽頭炎においても、感冒やA群溶連菌などが大多数ですが、他の細菌(C・G群溶連菌、Mycoplasma pneumoniae、Chlamydia pneumoniae、インフルエンザ菌、淋菌)、EBウイルス、HIVなども原因となりえます。
このうち、早期に診断、治療介入しないと命に関わる疾患があり、「Killer sore throat」と呼ばれています。
Killer sore throat:
・急性喉頭蓋炎
・扁桃周囲膿瘍
・咽後膿瘍
・Ludwig angina(下顎窩膿瘍)
・Lemierre症候群(内頚静脈の感染性血栓性静脈炎)
これらを疑った場合、X線、CTなどでの早急な精査、場合により緊急気道確保への備えが必要です。
さらに、総合内科外来の場で、見逃したくない咽頭痛として下記のものがあります。
・淋菌性咽頭炎
・急性HIV感染症
溶連菌性咽頭炎としての薬物治療を行うも反応に乏しい場合、咽頭痛が遷延する場合や、他の性行為感染症(STD)を合併している場合は、これらを考慮します。
その他、咽頭痛の原因となりうる疾患として、以下の様なものがあります。
患者さんが「のどが痛い」と訴えている場合、口腔、咽頭以外の病変の可能性もあり注意が必要です。
(咽頭痛の原因疾患の一例)
・石灰沈着性頸長筋腱炎
・ジフテリア(Diphtheria)
・咽頭結核
・異物誤飲
・急性心筋梗塞(咽頭痛のみを訴える心筋梗塞がある!)
・頸動脈解離、椎骨動脈解離
・腫瘍(咽頭腫瘍)
・Eagle症候群(茎状突起過長症)
・舌咽神経痛
・Burning mouth症候群
・咽喉頭異常感症